2020年11月25日水曜日

妄想炸裂 その2「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

 妄想を炸裂させる記事、その2です。
 少しずつ、篤くなっていっております。

 ネタバレがあります。
 映画を未見の方は、本記事はお読みにならない方がよいと思います。

 あくまでも、私個人が、「劇場版」と「テレビシリーズ」を見て感じたことをまとめたものですので、誤認や知識不足があると思います。御容赦くださいませ。



【この一瞬のために】
 はからずも見た11回目の時に、ふっと思ったのです。

 心ならずも、少佐に別れを告げ島を去るヴァイオレット。
 動きはじめた船の舷側に佇んで、虚ろに遠ざかる島を眺める。
 本当は見るべきではないのかもしれませんが、どうしても消せない心残りがあるのでしょう。葡萄畑も目に入ってしまいます。少佐は、既にそこには居ませんが。

 そして、微かに聞こえた少佐の声。
 自分の名を叫ぶ、少佐の声。
 一瞬、考えて、でも、それは空耳等ではなく、本当に自分を呼ぶ声なのだと理解した時の、ヴァイオレットの瞳の動き。声の方へ振り向いた時の、言葉では表しきれない、美しい表情。


 道具とも武器とも呼ばれた、感情を理解しなかったはずの彼女の辿った軌跡。そして到達点。

 もしかしたら、テレビシリーズ13話+OVA+外伝を通して描きたかったのは、この一瞬だったのかもしれませんね。



【あとは、ファンのための「おまけ」なのかも】
 少佐の声を聞いて振り返った時に、ヴァイオレットの中では物語は終わっているのではないかと思うのです。

 月光の下、浜辺での少佐の告白とヴァイオレットの嗚咽は、実はファンが結末を得るための「付けたり(※)」なのではないかと。
 ヴァイオレットには、自分の名を呼んでくれた時に「想いが通じた」ことが、わかっているはずなのですから。
 ヴァイオレットは一度も「あいしてる」等の宣言する言葉は口にしませんよね。言うまでもないことなのでしょう。

 そもそも、島で少佐とやりとりしている時、一度も「ヴァイオレット」と呼ばれていませんからね。


 デイジーがエカルテ島でヴァイオレットの徴(しるし)をたどり、彼女のその後を語るのも、ファンに対して、ヴァイオレットの物語に終止符が打たれたことを伝える「付けたり」なのです。


 エンディングテーマ「未来のひとへ 〜Orchestra ver.〜」のラスト、2人が指切りをするあの場面は、「ハッピーエンド」の止め(とどめ)なのだと思います。「安心してください」とでもいいますか…。

 あの指切りでは、きっと「死ぬまで、いや、死んでも互いに離れない」という約束をしたのかな。やっと手に入れた2人の永遠ですものね。


※:
「本来のものにつけ加えられた、添えもの。付加物」とでもいう意味で、古典文学の説話集等では、本題のお話に関連のある事項を追加で付加しておく時に、本題の話の題名の後に「付 ○○○○」みたいに表記されます。例外もあるけど…。



【感情表現の顕化】
 そういえば、エカルテ島に行った以降のヴァイオレットは感情の表現がはっきりしているのです。これまでの、抑えたそれとは明らかに違っていますよね。

 ホッジンズ社長が「ここで待っていてくれるかな」と告げた後は、言動にも表情にも動作にも活発さが表れています。

 ホッジンズが門を開けて学校の中に入って行くところ、背後のヴァイオレットは「うーん」とも「ふー」ともつかない表情をして、落ち着かなく辺りを見回したりしています。これまでのヴァイオレットからは考えられない挙動です。

 ホッジンズとギルベルトの話し合いが決裂して、門のところへ戻ってきた後の動きも違います。
 「ギルベルト少佐でした」とスキップするようにホッジンズへ駆け寄る姿も、これまでに見せたことのないものです。「少佐に会える」ことの嬉しさを形にしたかのようで、それだけに「会わない」という少佐の意志を伝えられた時の落胆と衝撃が際立ちます。



【二人組の綺麗なお姉さんたちへ】
 これは、Dolby Cinema版2回目の時の話。

 「めっちゃ音良かったっすねー。凄く小さな音まで拾ってくれてて。それだけに、あれ、なんなんすかね? ブーンって鳴ってたの。最初は『お? 効果音なのかな?』って思ってたんすけど、ずーっと消えないから。あれ?これおかしいなって…」
 「本当、あれなんだったんたろうね?」

 おっしゃる通りです。全面的に同意致します! あの、D-12位のシート裏の辺から出ていた音、何なんでしょうね? 上映中だけ聞こえるのが不思議でした。

 ところで、シアターを出るまでに、ヴァイオレットの最後の手紙のことを話してたと思うんですけど、あれ、何を話してたんですか? あっちの内容こそ、聞きたかったです。


 やっぱり、最後の手紙を少年に託すシーンは想いが籠もっていて、良いですよね。
 長めの瞬きをした瞬間に、「さようなら」を告げていたのでしょうか。