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2018年10月28日日曜日

5回観た「リズと青い鳥」の補完 その1

 こんな辺鄙なとこで適当にやっているブログでは、たまたま目にしたような人はいないでしょうから、今回の記事は映画を観ている前提で書いています。
 当然ネタバレあり。そもそも、観てる人じゃないとわからない話ばかりです。

 不幸にして、この映画を知らず・観ずにここに来てしまった人は、直ちにページを閉じて、年末に出るDVDかBlu-rayで観てから、又おいでくださいまし。あるいは、行ける方は、上映している劇場へ(←これが一番のおすすめ)。

 とりあえず、この記事ではメインヒロイン「鎧塚みぞれ」と、彼女の思慕の対象である「傘木希美」の関係について考えます。

 元々はメモ書きベースなので、散漫なまとめ方です。すみません…。



【二人の秘密の物語】
 みぞれが希美に依存しているのは、少なくとも同級生たちは、みんな知っている。
 きっと、危うく見えていて、みぞれのことが心配で仕方がない。

 でも、みぞれにとっては単なる依存等ではなく、本当に本当に本当に希美を好きなのだということは、みんな知らない。
 みぞれが希美を本当に好きなのは勿論、希美もみぞれが本当は好きなのだということは、二人だけの秘密なのだ。
 
 「理科室での告白」以降のことは、二人以外に知る人はいない。だから、「どうやって『答え』を出した」のか、「どんな『答え』」なのかも知られない。

 この一編は、そういう二人だけの秘密の物語を、観客がそっと覗き見た、そんな作品なのだ。
 大袈裟なものは何もなく、ただただ秘やかに時が進んでいく。
 誰かに見せるものでないからこそ、小さな機微も伝わってくる。
 みぞれの純粋な一途さが、もう、痛いほど画面から伝わってきて、苦しいくらいである。

 それを煩わしいと思わない人にとって、これはとても心を掻き立て、そして染み込んでくる作品である。


【望む結末】
 なんとなく、吹っ切れたような日常を見せることで、「すべては終わった」かのように映画は終わるのですが、私は悲しい結末を得たくないのです。
 なので、以下は私なりの考察と脳内補完です。合っているとかではなく、私にとっては「こうであって欲しい」と望む答えなのですよ。
 

【希美の嫉妬】
 オーボエ担当の1年生・剣崎梨々花と少しずつ心を通わせていくみぞれ。
 黄前ちゃんとあすか先輩のように、梨々花とみぞれの関係もぎこちない。やっぱり同じパートの上級生は、気を遣う・やりづらい存在なのだ。それでも梨々花は、慕う心でみぞれに認めてもらっていく。

 「オーディション、落ちちゃいました。先輩と一緒に吹きたかった」と感情を吐き出した梨々花に接して、自分からは優しくしてこなかったけれど、それでも自分を慕ってくれる彼女に対して、不憫さと後ろめたさを感じたのかもしれない。
 
 それもあってか、希美からプールに行こうと誘われた時、みぞれは梨々花も一緒に連れて行きたいと告げるのだけれど、その時に「え? 一緒に行きたいのは私とだけじゃないの?」と微妙な表情を浮かべてしまう希美には、きっと嫉妬が湧き上がっていたはず。みぞれの心の中に、いつの間にか自分以外の誰かが入り込んでいることが許せなかったのだろう。

 それを思うと、その時点では気づいていない&表現しないだけで、無意識の内に、やっぱり希美もみぞれのことが好きなのだと判る気がする。


【ハッピーエンドがいいよ】
 「ハッピーエンドがいいよ」とは、希美が劇中で何気なくみぞれに話す言葉なのですが、これは大切な暗示なのではないかと思います。
 それぞれの進路を選んで別れてしまっては、全然ハッピーエンドじゃない。それは、バッドエンドでしょ?

 「みぞれのオーボエ支えるから」からの「今は少しだけ待ってて」は、きっと受け入れなんだろうと思います。
 ‎そうでないと、「ハッピーエンド」にはならないもの。

 さてと、では、このお話は、結局ハッピーエンドなのでしょうか?
 
 ても、ある種のハッピーエンドなのは、冒頭で「disjoint」だった手書きの文字が、最後で「joint」に書き直されたことでも示されているし…。
 それは、これまでどこか遠慮がちで、深いところまでは理解し合えていなかった関係を超えて、本当の意味で二人の心が繋がったということなのかも。

 二羽の鳥が空を飛んでいるシーンが挿入されるんだけど、あれはきっと「比翼の鳥」のイメージですよね。最後で離れ離れにならなかったのも、ハッピーエンドの暗示だと思う。

 なので、ハッピーエンドということにしておこうと思います。



 文字ばかりで長いのもどうかと思うので、続きは、また次回。
 同じような、願望含めた感想が続くので恐縮ですが…。(^^;

 そう言えば、デウス・エクス・マキナ的にハッピーエンドを作り上げた作品が、最近もありましたっけ…。私はあの終わり方、嫌いではありませんけど。やっぱり、物語はハッピーエンドが良いよね。