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2018年10月29日月曜日

5回観た「リズと青い鳥」の補完 その2

 前回に引き続き、今回の記事も映画を観ている前提で書いています。
 当然ネタバレあり。そもそも、観てる人じゃないとわからない話ばかりです。
 思い込み垂れ流しなのも、ごめんなさい。
 ではでは、始めましょう。
 

【みぞれのオーボエがすき】
 理科室の告白で、みぞれが希美の好きな所を網羅的に上げていくのに、希美の答えは「みぞれのオーボエがすき」なんですね。
 あの一言で、一旦は、言外に「私の好きは、みぞれのそれとは同じじゃないんだよ」って伝えちゃってますよね。
 でも、一体「好き・すき」ってなんでしょうかね? 何度か希美の目を中心とした表情のアップがあるんですけど、あの時浮かんでいた思いとか考えとかは一体なんだったんでしょうね。

 でも、「みぞれのオーボエがすき」って、よく考えれば、全肯定なのかも。
 オーボエを奏でているのは一人の人間であって、それがどんなものでも、その人が抱いている感情を込めているわけでしょう。
 ただ「上手だから」なのではなく、込められたみぞれの想いも含めて、みぞれのオーボエがすきなんでしょ?

 みぞれの精一杯の告白だった「大好きのハグ」に、あの時に、簡単に「あたしも」とかって「も」で答えてしまうと、ただの百合(※)に落ちてしまうと思うのだけれど、あそこを「みぞれのオーボエがすき」としたことで、遥かに高いレベルまでいっちゃったんだと思います。即答ではない、「溜(ため)の威力」ですかねえ。

※:ここでの「ただの百合」とは、ちょっと色物的な、なんていうかな、「よくある百合」とでもいうか…。いや、それはそれで良いのですけれど。


【咄嗟のポーズ】
 みぞれに「ごめん、もう、よく覚えてないんだ」って答えてしまったのは、ポーズですよね。
 希美の回想の中では、「吹部に入らないか」と言われた時の驚いた表情のみぞれが描かれているし。思い出せないはずがないのです。
 
 何かは分からないけれど、自分もみぞれに心惹かれるものがあったからこそ、中学のあの時、みぞれに声をかけた。

 だから、あの「ごめん、もう、よく覚えてないんだ」の時には、まだ、答えを見つけられてなかったというのもあるけれど、100%の自分を晒せなくて、咄嗟にごまかしたんですよね。


【少しだけ待ってて】
 ラスト前、階段の所で希美が伝えた結論が「少しだけ待ってて」なんでしょうから、それもこれも超えた上での「受け入れ」「答え」にたどり着いたのだと思います。
 そうでなきゃ、エンディングに向かって下校の様子を描くシーンでみぞれが微笑まないでしょ?
 悩み苦しんだ末に、二人共、二人のこれからが見えたんじゃないのかな。

 「リズ」と「青い鳥」は、どうしても一緒にはなれない異類同士だけど、二人は頑張ればどうにでもなるんだもの。


【最後のひとこと】
 これは、こうあって欲しいという私の願望だけれど、みぞれのことを、自分のことを、もう一度、深く考えて、確かめて、希美が最後に出した答えは、「私もみぞれが好き」だと思う。
 そして、それを振り返りざまにみぞれに伝えたからこそ、最後の最後のワンシーンで、みぞれが嬉しそうな驚きの表情を浮かべたのだと思う。


【まとめ】
 いやー、アラフォーどころか、アラフィフのおっちゃんがマジに語り印すような内容ではないんですけど、一度観てしまうと、ついつい深読みしたくなってしまう映画なんですよ、この「リズと青い鳥」って。

 今回の立川シネマシティでの上映も含めて、新千歳空港国際アニメーション映画祭にキネマ旬報シアターと立て続けに上映がされるというのも、そんなこの映画の魅力が呼び寄せているのかもしれませんね。

 キネマ旬報シアターかぁ……。
 行って行けないことも無いんだけど、上映が1日1回で、それも夕方以降というのがなあ…。ハードル高いんだよな。