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2025年7月5日土曜日

アニメ放送直前! 「瑠璃の宝石」 の話


 本当はもっと早くと思ったのだけれど、春先からずーっと超低テンションな時期だったし、コミックス既刊を読み始めるとついつい読みふけってしまうので、作文する気になれなくて。

 でも、アニメ放送開始が明日なので、頑張りました。

 ボカシてはあるけれど盛大にネタバレを含むので、コミックス第5巻を未読の方は直下の章は読まない方がいいですな。



【コミックス 第5巻の話】
 昨年9月に第4巻迄のコミックスに関する感想などをまとめて記事にしたのだけれど、その頃は第5巻が出た後なので、本来ならば第5巻についての記事を投稿するべきだった。
 けれども、その頃は会社勤めを辞めた後の「ほげー」っとしている時期だったし、北海道へ長期旅行に行っていたりもしたので手が付けられなかったんだよね。

 ということで、まずは第5巻の感想をば。

 5巻は「自分達で」が大きなテーマかなと。

昨年の記事からの使い回しでスミマセン…(^^;


 第24話は、かつて第1話で瑠璃が凪に連れて行ってもらった水晶の産地を再訪しようと企てるところから始まる。
 「山に行くならついて行ってやるよ」と、瑠璃の友人で山歩きをしている「笠丸 葵(かさまる あおい)」がメンバーに加わって産地を訪ねるが、紆余曲折あって敗退。最後のひと足掻きで瑠璃が集めて持ち帰った川原の小砂利の中から話題が繋がっていく。

 第25話は、第24話の最後で瀬戸が手に入れた「地学部の活動記録ノート」をもとにしてお話が展開されていく。
 言わば、「ノートの中に書かれていた『水晶の木』を探す前哨戦」である。
 ノートの記載が信用できるのかどうかを探る過程で「自分達なりの工夫」と、その成果の確かさを体感する。

 第26話は、「水晶の木」を探すフィールドワークの前編。
 「『水晶の木』というくらいなのだから、水晶の産地にあるのではないか?」と考え、ノートに記載された「水晶山」へと赴くメンバーたち。
 しかしノートに記載されたのと同じ時期なのに、現地で体験したある事態がノートにはなく、「ここは水晶の木を見た現場ではない」と気付く。
 傷心したものの、バスの時間待ちで訪れた資料館で見たものから、これまでならば目に留めなかったはずの石の価値に気づく。そして…。

 第27話は、フィールドワークの後編。そして4話続いた「水晶の木」編の完結でもある。
 「水晶の木」とは一体何なのか? どこにあるのか?
 これまでの自分達の経験と知識(特に知らず知らずの内に瑠璃が凪から教わったこと)から、「こういう原因で出来た・露出したのではないか」を自分達なりに推論し、それをもとに候補地を定めて、現地で捜索活動を展開していく。
 しかし、当初想定とは異なる現地の状況等から、やっぱりダメかと思った時に…。
 遂にたどり着いた「水晶の木」は、実は意外な連鎖を引き寄せる。
 そして瀬戸のこれからに大きな転機をもたらす。

 第28話は、時間へのつなぎの一編。新たに「化石」というもう一つの石の世界へ触れる導入編。


 第24~27話までを通して語られていく「自分達で」という流れ。
 瀬戸は、伊万里への憧れもあって頼り気味。独自の視点やひらめきを持つ瑠璃も、心のどこかに「凪に聞けばわかるはず」みたいな傾向がある。
 うすうすそれではダメだとは感じているのだろうけれど、「自分たちと同じ高校生が自力で水晶の木を見つけた」ということに背中を押されて「自分達だけでやってみたい」と決意する。

 そして、さまざまなヒントを基に自分たちなりに考えて答えを探していく。
 特に第25話の南極石の結晶作りの話は、その後の第27話を導く内容でよく出来ている。
 実験に用いる薬品をもらいに行った化学部で、部長さんが地学部の遺したノートの内容にさらっと目を通した時の52~53ページの流れ。部長さんの「よ~く考えて使うんだよ」の一言は、とても味わい深い。
 ノートの記載を表面的になぞっただけでは、与えられた薬品からでは南極石を再現することはできず、現物に基づく理屈の再構成が要る。それが「よ~く考えて使うんだよ」の真意なのだ。「自分達で考えろ」と。

 追い詰められた瀬戸が「何故出来ないのか」の理由に気づき、自分達に与えられた材料に合わせて薬品の分量を再配分する。それでも、最初は上手くは行かなかったけれど、ある偶然から南極石の結晶の生成に成功する。「自分達で考えたこと」が具体的に成果になったのだ。

 その生成成功の時の瑠璃もいい。
 一晩冷蔵庫で冷やしても出来なかった結晶がなぜ出来たのか。
 「過冷却状態だった溶液に、机に置いた時の衝撃が加わったから」という瀬戸の推察、「その衝撃があれば毎回結晶は出来るのか」と問う笠丸。それに対して 「何回かやったらわかるんじゃない?」「条件とか記録して確かめてみる?」とさらっと発言する瑠璃。
 宝石への欲望でギラギラしていた最初の頃の瑠璃とは違う、成長した姿だ。
 「サファイアの産地探求編」で地道に砂粒を顕微鏡で「観察」し続け、研究ノートに「経過を記録」し、記録から産地を「推定」して、現地で目的の鉱物を見つけて「実証する」ということを実体験で身に着けたからだろう。

 科学的な方法である、

  「観察した事実」
   ↓
  「事実に基づく推察・推論」
   ↓
  「実験等による再現、実証」
   ↓
  「結論」

 を踏まえた上でのセリフ・ストーリーだと思う。
 私が科学少年だった中学生の頃、科学部の顧問に「科学的な方法」を教え込まれた記憶が甦る。


 個人的に、第28話の化石の話はどう話が進むのかが興味深い。
 あるポイントの地層を調べる時に、含まれている化石を分析することは、その地層の生成された時の状況・環境を推察出来る有力な根拠となるので欠かせない。
 建築のお仕事をしていた時は、建物の基礎構造を設計するために地質調査ボーリング調査の結果を精査していたけれど、少ない調査資料から「この場所の地下はどうなっているのか」を読み解く時に徹底的に過去の地質資料を読み込んだものだ。大規模な建築物の基礎は、判断を間違えると構造設計的にも金銭的にもその後の対応が大変だから、真剣勝負だった。
 4巻の第19話でも少しだけ化石に触れるけど、その時は「鍾乳洞の水中に堆積していた土砂の中にあった動物の遺物」としてで、第28話で凪が手にしている岩石中にある貝の化石とはちょっと違う。化石になるまでの段階も含めて、どんな風に物語られていくのやら。楽しみ。

 著者の旧作「大科学少女」の登場人物「サキちゃん」こと「伊勢 美咲」に容姿が似た子が出てくる。薬品を貰いに行った化学部の部員で、瀬戸とは顔見知りらしく「網野さん」「瀬戸さん」と呼び交わす。サキちゃんとは姓が違うから、まあ、親戚と解釈して楽しむことにしようか。

 笠丸さんは、瑠璃と瀬戸との出会いのお話となる第3巻の第13話の時に、1学期の期末テスト明けで海岸へ泳ぎに行った時の子の内の一人と同じなのかな? 空き教室の中でも「THEサバイバル 砂漠編」とかいう本を読んでるし、アウトドア派の人なのね。ん? そもそも第1巻1話冒頭でアクセサリーショップで水晶のペンダント見て鼻息荒くしてる瑠璃を引っ張っていく子も笠丸さんなのかしら?


 「海岸へ泳ぎに行った時」といえば不思議なんだけど、瑠璃は「学校終わってから来るにはちょっと遠いけどね」というのだけれど、瀬戸はそこに通学カバンを持って通りかかる。学校と海岸と瀬戸の家と、瑠璃の「行動範囲の認識」はどうなっているのかしらん? そんな遠いところから瀬戸は高校へ通ってるのだろうか?
 まあ、「ぼっち・ざ・ろっく!」でも、ぼっちは片道2時間かけて通学してるしなあ…。
 自分の高校生時代にも、親の転勤と卒業までの残りの時間との兼ね合いで、お隣の県から新幹線通学していた同級生もいたから……。

 第1巻第5話で、第3話で瑠璃が見つけた黄鉄鋼の結晶について論文化したものの表題が「群馬県北部帯中から産出する黄鉄鋼」となっていて、所属校名が「前芝大学理学部鉱物学研究室」となっていること。
 第5巻第26話の舞台が、どう考えても群馬県甘楽郡南牧村であることからすると、群馬県内のどこか-いや海岸へ泳ぎに行ったことからすると海なしの群馬県ではない…でも「学校終わってからくるにはちょっと遠い」…でも、瀬戸さんはその海岸の近くに住んでるし-、と「瑠璃の宝石の世界はどの辺が舞台なのか」を考えているんだけれど、答えが出ないのよね。


【祝! アニメ化】

 ということで、アニメ化ですよ。
 今(7月5日)はまだ放送開始前なので、YouTubeで見られるPVを眺めている訳ですが、どうなんですかねえ。

 2024年9月公開のティザーPVを見た時には「瑠璃の声が幼すぎるかなー」と思ったけど、2025年3月の第1弾PV見たら「まあ、なるほど」と。そして5月の第2弾PV見たら「納得しました」となりました。瑠璃はキャッキャしたところもあるから、かわいい声でもいいのかもしれませんね。
 ま、どんな作品でも最初のティザーPVの段階では見せられるものも少ないだろうし、その段階で「どんな作品になりそうか」を見極めるのも難しいですからねえ。
 個人的には脳内で再生していた仮想CVに対して、凪さん役の瀬戸麻沙美さんの声はちょっと高いようにも思うけれど、第2弾PV見て「うん。なるほど」と。宮本侑芽さんの伊万里ちゃんはばっちりでしたね。


 第2弾PVの後半で流れるエンディングテーマの「サファイア」、良い曲ですね。ちゃんと物語に出てくる「サファイア編」も織り込まれていそうで。ん? 「デジタルシングルとしてリリース」か…。
 下書きのままで眠っている「北極百貨店のコンシェルジュさん」の記事の中でチョろっと触れているのだけれど、こういう「デジタルシングルとしてリリース」みたいなの嫌なのよね。「北極百貨店のコンシェルジュさん」の時は、主題歌の「Gift」が「配信で」とかで「うーむ」と思ってたんだけれど、結局CDで発売されたんよね。
 配信なりデジタルリリースなりで売られると、再生環境が限定されてしまう気がして扱いにくさを感じてしまう。ファイル自体をダウンロード販売してくれたとしても、結局著作権保護のために再生用のアプリなりなんなりも限定されちゃうでしょ?
 CDを作って売るためのコストとリターンが見合わない場合には、「配信」とかが有力な手段になるのは理解するけれど、聞く側としてはめんどくさいですよねえ。
 今回の「サファイア」はどうなりますかねえ。長年封印してきたApple Musicに戻りますかねえ…。


 第1弾PVの中で「私はこの海岸での鉱物の採集はもうやり尽くしてるから」というセリフが出てくるので、3巻まではやるのは間違いない。そしてメインキャストに「笠丸 葵」とわざわざ出てきて、その笠丸さんが活躍するのは5巻であるということからすると、アニメ化は5巻までですかね。そもそも原作がどこで終わるかという問題もあるし難しいですな。登場人物の数からすると厚みを出すために瑠璃・凪・伊万里・瀬戸の4人だけではなく、もう1人、笠丸を加えたかったんでしょうね。そうすると、4巻ではなく5巻までと。

 アニメ1クール=12 or 13話というのは、「長いようで短く 短いようで長い」のでシリーズ構成の人がちゃんとまとめてくれれば5巻まで十分やれるとは思うのですが、どうですかねえ。
 2期をやれるかはっきりしない以上、1期で収まりの良いところまでアニメ化しておくのがよいのでしょうが、13話にまとめるために変に刈り込んで欲しくもないし…。なんとなく「まちカドまぞく」の時のことを思い出しました。ちょっと「もやもや」しますが、アニメ最終話見てみないと答えは出ませんね。


 昨年の記事の中でも、

 瑠璃が高校のどの学年なのかは明確には明かされないけれど、進路のことに関連して、今後、瀬戸と勉強会をする話から考えれば2年生っぽい。子供っぽい思考を考慮すると1年生と思えなくもないけれど、1年ではそれほど進路のことが身に迫って来ないだろうし。
 そう考えると、瑠璃の進学が多分作品の区切りとなるのだろう。
 瑠璃・瀬戸共に前芝大学に合格して、凪(博士課程か、大学の講師やってるかも)・伊万里(修士を終える頃?)たちと笑ってるくらいで終わるのかしらん。
 となると、あと1〜2年のお付き合いかな。
 長いような短いような…。
 単行本が2冊出て、「全6巻完結」かなあ。

 と書いたのですが、果たしてどうなるのか。
 この後、7月15日に最新刊の第6巻が配信されるので、とりあえず「全6巻完結」かどうかの答えはもうすぐわかりますな。
 Amazonの販売ページには「科学と好奇心の鉱物採集アドベンチャー、第6巻は化石探し編です」とあるので、完結ではなさそうですけれど。


 アニメに合わせて普段の刊行サイクルより少し前倒しで6巻が出るのはうれしいんですけど、せっかくアニメ化されたのだから、上げ潮に乗って、もう少し展開したいところですよねえ。
 どうですか、高校地学のサブサブリーダーみたいなムックとか、聖地巡礼ガイドとか。
 でも、鉱物は「採取禁止」の制限のある産地も多いし、アニメ見て来るような不慣れな人では危険だし、聖地巡礼ガイドは難しいか。

 「放課後ていぼう日誌」アニメ化の際は、何故か「つり人社」から「別冊つり人シリーズ 『はじめよう!放課後ていぼう釣り』」というすごくアツいムック本(※)が出たけれど、だからと言って釣り人口が急増した訳でもなさそうだし。アニメ見てる人で本気で鉱物採取始める人はごく少数に留まりそうだわねえ。


 ※:
 聖地「芦北」の巡礼記事だとか、「釣り好きアニメ監督・大隅孝晴さんに聞く アニメ『放課後ていぼう日誌』制作の舞台裏」とか濃い記事が多いムック本。
 前者の記事では原作第13~14巻の舞台モデルとなっている「御立岬公園(海釣りランド/キャンプ場)」について取り上げているし、後者は、他の雑誌などではまず無いような視点で盛り上がる濃厚な監督インタビューになっています。
 「放課後ていぼう日誌」は、新型コロナウイルス禍に当たったのが本当に残念な作品だったので、ガンガン再放送するなどして盛り上げてもらって、その後も佳話が多いので2期・3期…と制作してほしいところですが…。
 そういえば、「放課後ていぼう日誌」も7月18日に最新14巻が出るんですね。いやー、「瑠璃の宝石」6巻ともども楽しみです。