「予告編の力って偉大だな」って思う作品がある。
「こ、これは、観るしかない」と思って、封切りの日にいそいそとシアターに足を運ぶのだけれど、実際に観てみると「ううん?」となってしまう。そんな作品。
本作「どうにかなる日々(https://dounikanaruhibi.com/)」も、自分にとっては、ややそんな感じに思えたかな。
オープニングの絵の感じ、音楽、そしてそれらが合わさって醸し出される雰囲気は凄く良かったから、期待は高まったんだけれど、短編4話(第3話と第4話は繋がっているので、正味は3話オムニバスと言えなくもない)の内の2話目後半あたりから「ううん?」と思ってしまった。
「原作=アニメーション作品」という訳ではないから、別途、原作コミックを読まないと作品(物語)そのものの評価は出来ないのだけれど、「本作を観る限り」においては、2話目の言いたいことがよくわからなかった。
3・4話目も、「なるほどねー」とは思うけれど、たどり着いたのは「うーん。それで?」という感じ。
1話目は、はっきりと決着が着くこともあって「ほほう」と思えて、解決した満足感があるのだけれど、2・3・4話は「もやもやする感じ」がまとわりつく。
もっとも、3・4話は主人公達2人のその後のイメージがうっすら湧くので、まあ、解決した満足感が無い訳ではないのかも。
その、「『もやもやした感じ』こそが、我々が普段実際に過ごしている日常生活と相似通ったものなんでしょ?」ということ、なのだろうけれど。
まあ、現実の世界では「思っても口に出さないこと」も多いし、明瞭なストーリーや結末がある訳でもないから…。
週明けの今朝、「『これが現実だよ』と言うことなんだろうけれど、妙に生々しくてね。どうせなら、もう少し夢が見たいんだけどねえ」と、一言感想を職場の後輩に話していたら、「あー。現実は、嫌でも自分自身が見ますもんね」とのコメントをいただきました。
うん、でも、僕は清い方だけどね…。
「夢見るおじさん」ですしね。
結構、ほんわりした絵柄なのですが、内容がそこそこエロいシチュエーションを扱っているので、そこが「PG12」たる所以ですね。
どうせエロいのならば、パキーンと突き抜けてしまう方が納得出来るものがあるのですが、「そこそこエロい割に、寸止め」というところも、前述の「もやもやした感じ」に繋がっているような気がします。
佐藤卓哉監督の作品としては、昨年の「フラグタイム」の方が、メッセージが明確で、見終わってすっきりしたように思います。主人公達(美鈴と遥)の「これから」が感じられましたから。
まあ、このまま終わるのも何なので、年末にでも原作コミックを読んでみます。
作品の嗜好というか、志向というのも、なかなか難しいものですねえ。