時間は創り出すもんやで。
という訳でもないのですが、昨日(6月25日)は丸1日の空き時間が取れたので、ひさしぶりに映画を見てきました。
当地(愛知県)も、新型コロナウイルス感染症の流行による「緊急事態宣言」が6月20日まで発出されていたので、映画を見に行くのもいささか気が引けたし、見たい映画も無かった - いや、見たい作品は有ったのですが、業務と上映スケジュールとを調整できず、見られなかった - しねえ。
各映画館の時短営業の影響は厳しくて、本当にスケジュールが合わなかったんですよね。諦めた映画は、いずれBlu-rayとかDVDとかで見たいと思ってます。
「各社の配慮で、観覧にともなうポイントシステムは、有効期間が延長されていたりするけれど、そろそろ観ておかないと、延長後の有効期限すら切れちゃいそうだし…」ってのも、理由の一つですが。(^^;
見てきたのは
①「映画大好きポンポさん」
②「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」
③「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」
の3本です。
①と③は積極的に「見たい」と思ってチケットを買ったのですが、②は「時間繋ぎに、何か1本見るかな」という消極的理由によるチョイス。
というのもですね、①は午前7時45分~9時25分、③は12時15分~14時5分で、①と③の間に3時間弱空き時間があるんですよ。
いつもの郊外のシネコンならば、駐車場に停めた車の中で暇つぶししてればいいのですが、公共交通機関で来場する今回の名古屋駅前のシネコンではそうもいかず、ロビーにいるのもどうかと思われ、どうせなら映画でも見ているかなと思ったわけです。
【映画大好きポンポさん】
ここちゃん(小原好美さん)の演技も良かったっす!
「映画大好きポンポさん」は、作り手の熱い熱い情熱が籠もった作品でした。
原作未読だから、情熱が原作由来なのかどうかはわかりません。
原作に熱量が在ったから、こんな良い出来になったのか、それともアニメ版の製作・制作陣が腕によりを掛けたからなのか。原作も読んでみるかな。
本作は「映画を作ることへの情念」を正面から取り扱っていて、「映画を作る意味とは」「誰のための映画作りなのか」「撮った素材から、どのように物語を紡いでいくか」を自ら問うています。
見終わると、この作品の裏側にも、作品中で眺めたような様々な情念が渦巻いていて、そうして出来上がった「夢と狂気の世界の産物」なのだと、垣間見ることが出来る訳です。
本作を見ちゃうと、映画を見て「クソだからクソ」と切り捨ててしまうのが申し訳ない気がしてくるなあ。
でも、「金と時間を返せ」というのも観客側の素直な感想ですしねえ…。
同じ「業界物」の「SHIROBAKO」が「作品を制作する人の物語」だったのに対して、本作は「物語を創る人の物語」だったと思います。
もちろん、「みゃーもり」は物語を創ることも知っているけれど、根本的には制作者側だと思うんですよね。
ポンポさんとおじいちゃんとの関係を見ていると「一流の目利きを育てるには、小さい頃から本物だけを見せること」とかを思い出します。そりゃ、英才教育には敵わんわなあ。
でも、だからこそ「映画のつまらなさ」「こういう映画が観たい」という想いも、ポンポさんは強く抱いているのでしょうけれど。
デフォルメ気味の絵と劇画っぽい絵のミックスということもあってか、絵のキレ・センスがとても良いです。
それに、ストーリーの流れや場面転換のテンポも良く、センスとテンポが良ければ、こんなに見やすく、集中出来るのかと思わされました。
もう一回観ておきたい気がしますが、スケジュール調整が難しいんですよねえ…。
【劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト】
「レヴュースタァライト」は、そもそも時間繋ぎの選択だったので、どうのこうのは言わないですけれど、一言させてもらうならば、「長かった」。
上映終了後、右隣のおねえさん二人組は
「これだよ。これだよ。見終わったばかりなのに、もう3回目が観たいよ。でも、この映画館では1日に1回しかやらないんだよっ…!」
「わかる。わかるよ」
「ねー」
「ねー」
とのことでした。
絵も音楽・音響もとても良い出来なのに、私には分からなかった…。
まあ、テレビシリーズ見てないからなあ。興味も薄かったし。
個人的には、めったやたらと女子高生同士の殺生のシーンがあるのはどうかと思うんですけどね。絵が綺麗なだけに、逆に嫌でした。
それに刃物振り回してばっかりというのが、なんだかなあ。でも、飛び道具でのバトルでは見せ場が作れないから仕方がないか…。
何気に東映の実録系映画とかへのリスペクト(?)が満ち溢れている作品だなと思いました。
【映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ】
この原作のテイストを残しつつのキャラクターデザインって、難しいっすよねえ。
今シーズン(2021春アニメ)放映しているテレビシリーズは未見なのですけれど、何故か「これは観ておかないと」と強く思ってスケジュールに組み込んだ1本。
これと「ポンポさん」との間の空き時間調整に「レヴュースタァライト」を入れた訳ですね。
ヒロインたちの唇周りにちょっと違和感を感じたけれど、絵的には、まあ、好みの絵でした。背景も充実してたし。
最初と最後でタイトルが映し出されるのですが、あそこがややぼやけているのはそういう意図なんでしょうね。でも、一瞬、自分の目の調子が急に悪くなったかと思いました…(汗)。
シンプルな物語なんだけど、シンプル故に伝わるものがありますよね。
男女の差が目立たなかった小さな頃は、性別を越えて、互いに1人の子供としてフラットに接する事が出来ていたのかもしれません。
それに、小学校高学年くらいまでは、女子の方が体格が良いこともしばしばあるし、器用さでも男子を凌ぐことも多いから、のんちゃんがナメックを圧倒出来ていたのも、ある意味納得出来ることです。
でも、中学生くらいから、体格的な意味においては男女が逆転しますし、「根性的な部分」でも志向が変わっていきます。
意のままにならない現実の繰り返しは、「こうじゃなかった」「こんなんじゃなかった」という思いを強めていきます。そして、ナメックの思春期の男子らしい強がりともあいまって、2人の対立(すれ違い)は深まっていく。
最近、世間様を反映してか、「ジェンダーを扱う作品」も増えてきましたね。
個人的には、「性差は、現実にある以上、無理することはないんじゃないのかな」と思ってるのですけれど。
どうにもならないことはひとまず措いて、出来ることをやっていくのが良いのではないかと。
のんちゃんは、素直に女子サッカーで頑張ってもらいたいです(※)。絶対に埋められない差が存在する世界で、無理に消耗する必要はないのですよ。
佐和ちゃんが言うように、のんちゃんのフットボールには華があるから、自分達に合った世界の中で実力を発揮し、周囲に夢を見させて欲しいです。
新人戦の試合後半に脚を痛めた、のんちゃん。
ナメックへの憎しみ(悔しさ)の先に、性差を越えて、「自分が求めていたフットボール」を思い出した時、本当ののんちゃんの挑戦が始まったのかなと思います。そして、それがテレビシリーズに繋がっていると。
うん、良い物語でした。
エンドロール、実際の女子サッカーの選手やチームの写真が使われていて、温かい思いを感じます。
せっかくならば、小っちゃくても良いから、エンドロールに名前を出してあげてもよいのではないですかね?
見終わってとても満足しているのですが、敢えて言うならエンドロール後のP.S.は全くの蛇足だと思います。特にトイレからの脱出のところは、順平ちゃんがどうなったかのオチを付けるためのワンシーンだけど、せっかくの「本編の余韻」が打ち消された感は否めません。
ところで、これ、アニメーション制作はライデンフィルムだったのね。エンドロール見ると、ライデンフィルムが総力を挙げた感じがありました。立派になったねえ。
私の中では、「ライデンフィルム」というと最初に思い出すのが「石膏ボーイズ」で、次は「ミス・モノクローム」ですから……。♪ウルトラスーパーアニメタ~イム♪♪
※:女子サッカーの世界で頑張るのが「テレビシリーズ」なんだそうですね。興味を惹かれたのでその内に視聴しようと思います。
【今日のまとめ】
「ポンポさん」からは「作ってて楽しい」という感情が、「さよなら私のクラマー」からは「この感情を伝えたい」という想いが感じられました。それに比べると、「レヴュースタァライト」には、「見たいのって、こういうのでしょ?」というか、「お仕事感」を感じました。
そりゃ「事業」ですから、裏側でお金が蠢く「お仕事」なのはわかるのですけれど、こういった課金系ゲーム由来のアニメからは、作り手の愛情とか熱意を感じにくいことが多いように思うのは、自分の視点が斜め上だからなのでしょうか? (アイマスシリーズとかは、別格として)
「そうは言うけど、お前、ナナシス(=Tokyo 7th シスターズ)の『僕らは青空になる』見に行っただろうが!」って突っ込まれると思いますが、ほら、あれは、元々は好みの声優さんありきだったから。
そういえば、いつものようにパンフレットを買おうとしたのですが、ポンポさんとレヴュースタァライトは売り切れ。
うーん、まあ、「レヴュースタァライト」は、そもそも興味薄だから諦めもしやすいけど、ポンポさんはなあ…。再入荷、当地の興行期間内に間に合わせてほしいなあ。こんなことなら、公開初日にパンフだけでも買いに行っておけばよかった…。
ということで、「さよなら私のクラマー」だけしか買えませんでしたとさ。ポンポさん…。