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2021年8月9日月曜日

彼女たちの青春は、傑作だ。「サマーフィルムにのって」


 ということで、「サマーフィルムにのって」。
 封切り日の初回ということで、頑張って来ました。

 他の用事でWebを見ている内に偶然引っ掛かったのですが、見終わった今では大好きな映画になりました。

 どんな映画かと言われると、「映画作りに夢中になった高校最後の夏。恋×友情×SF×青春映画の新星」というポスターの惹句が全て。

 だから、「サマーフィルムにのって」来るのは何かというと、やっぱりポスターの惹句であって、

 「恋はサマーフィルムにのって」

 「友情はサマーフィルムにのって」

 「青春はサマーフィルムにのって」

 ということなのでしょうね。

 ネタバレになってしまうので詳しくは書けません。

 是非、 公式ページ をご覧くださいませ。予告編もありますよ!

 あと、見終わった方はYoutubeの「 特別映像『サマーフィルムにのって』〜もうひとつの青春の1ページ〜 を見逃さないでくださいね。公式ページからも行けます。


 映画が始まってしばらくの間は、なんだかごちゃごちゃで、「約1時間40分の中に詰め込み過ぎじゃない?」って思うのですが、でも、1本通してみると「映画作り×恋×友情×ライバル×SF」の全部が上手く処理されていることが分かります。


 タイムトリップ系SFのお約束として、「最後まで時間旅行者であることは隠す」みたいなのがあるのですが、本作では中盤であっさりと登場人物たちに明かされてしまいます。

 そこで過剰に反応せずに、それまでと変わらずに仲間として接していく登場人物たちの様子に、なんだか「今」を感じました。
 「何読んでるの?」と主人公「ハダシ」に聞かれて、「ハインライン」と答えた主人公の親友「ビート板」。その時に読んでいる文庫本がSF「夏への扉(※)」なのですが、その辺がこの後に起こるタイムトラベラーの登場の示唆なんですね。

 SF好きのビート板のおかげで、タイムトリップ系SFの「条件」とかも手際よく解説され、ハダシの初監督作品が残らないことにも破綻が出ない流れになっています。
 そして、それが最後のシーンの激闘に繋がっていくのですね。


 上映会会場での「ライブなラストシーン」のところ。
 それまでハダシのライバルだった映画部の「花鈴(かりん)」も含めて、取り巻くみんながハダシと凛太郎のことに見入っているのは、温かみを感じました。本当に「最高のラストシーン」でした。

 一旦は「相手のことが好きだから、互いに傷つけない終わり方」を是としたハダシですが、最後は「好きだからこそ相手を倒す」に変化したのは、「うやむやのままで終わらせるのではなく、傷ついてもいいから、関係性を刻みつけたい」と思ったからですよね。これでお別れになり2度と会えなくなる凛太郎のこと(※2)を、自分の心に刻みつけるために、映画「武士の青春」のラストをああしたのでしょう。


 私、乃木坂46に全く興味がないのでヒロインの伊藤万理華を知らなかったのですが、なかなか良いですねえ。
 「もう少し落ち着くといいのに」と思わなくもない所もあるのですが、「それも高校生らしさの演出かな」って見れば、納得出来ます。この子、時代劇マニアの陰キャというのにはかわい過ぎですよねー。
 ヒロインのハダシは勝新演じる「座頭市」シリーズに心酔していて、最後の殺陣のシーンもその再現なのですが、激しい動きもバシッと決まっていて、伊藤万理華の演技はお見事でした。

 天文部所属のSF好き「ビート板」役の河合優美、ラブコメ大好きを隠した剣道少女「ブルーハワイ」役の祷キララの二人も、それぞれの「大好き」を大切にしつつ、ハダシを支える親友らしさが感じられる堅実な演技だったと思います。
 ただ、録音の関係もあるのかもしれませんが、ブルーハワイの声が低めで、ちょっと聞き取りづらいところがあったかな。そこがスポーツ系少女らしさといえば、そうなのかもしれませんが。

 「凛太郎」役の金子大地もカッコよかったんですけど、個人的には「ダディボーイ」役の板橋駿谷が味があって良かったなあ。
 突然巻き込まれた時代劇映画の主人公のライバル役に、戸惑いつつも全力で取り組んでいく体育会系の良い人がぴったりでした。「ここは俺じゃないだろ」ってハダシに箒を投げ渡すところは、ジーンと来ました。


 前日(8月5日)、前から楽しみにしていた「サイダーのように言葉が湧き上がる」を見て「うんうん。良かったー」と思っていたのですが、その感想が一瞬で色褪せるくらいのインパクトが本作にはありました。
 予定調和で終わることが分かっている「サイダーのように〜」に対して、本作は「結末がどうなるかわからないハラハラ感」があって、見終わった後の充実感が高かったのですね。


 「サイダーのように〜」は本来ならば昨年(2020年)に公開されているはずだった作品であり、比べるべきではないのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で上映時期が後ろ倒しになってしまってタイミングが重なってしまったんですよね。

 「もう1回見る?」と聞かれたら、「サイダーのように〜」は「スケジュールと合えば」と答えますが、本作は「絶対に見たい。なんとかスケジュール調整する」と答えます。

 そう。
 それくらいに「彼女たちの青春は、傑作」なのです。


ー ー ー ー ー ー ー ー

 上映、午前10時40分からなんですよねー。だから、終わるのが12時25分過ぎ。
 午前振替休暇+1時間休暇として「14時には戻ってきます」と職場には言ってあったのですが、見終わったら「うわー、職場に戻りたくねえ!!!」と猛烈に思いました。
 夏の真っ盛りに、「爽やかな夏の青春映画」を見たら、そりゃ、澱んだ職場になんか帰りたくないわさ。

 でも、出社しましたけどね………。

 お仕事なので。(>_<)


※:

 タイムトリップSF(冷凍催眠で未来へ行く系)の名作ですね。
 長いし、個人的には出てくる言葉(単語)が読みづらいので、あまり再読する気にはなれないのですが…。(^^;
 最近映画化もされましたが、現代の日本に置き換えるのは無理があると思うので、未見です。

※2:

 もっとも、「来ちゃった」と軽くタイムトラベルしてきた凛太郎の友人「ドク」の姿を見ていると、「また来るんじゃね?」と思ってしまいますが。(笑)