来週封切りの「アリスとテレスのまぼろし工場」の前座としての再上映を見てきた。
「イヨルフ」というエルフパクリの、美男美女ばかりの種族のヒロインの、哀切な物語。
いい出来だけど、重過ぎて…。再見は遠い未来でいいな。
エルフといえば長命な種族。
本作の「イヨルフ」達も同様に、長命な種族。その長命さ故に残酷な運命に巻き込まれてしまう。
奇跡的に助かった少女マキアと、人間達との物語。
「自分達は長命な種族。私たち以外の生き物達は、自分よりも先に目の前からいなくなってしまう。だから、自分達の種族以外の存在を愛してはならない」という、イヨルフの長老の言葉。
生きられる時間の長さが異なる者たちの宿命だよね。物語の初めの頃、マキアが助けられた家で飼われていた犬が死ぬシーンで、それとなく「宿命」を暗示するあたり、上手いなと思った。
物語のおしまいも、そんな、宿命と、それを越えつつあるマキアの姿を描いて終わる。
日本だと「八百比丘尼」という有名な伝説があって。
「禁断の人魚の「身」を食べてしまった若い娘が、そのまま不老不死になってしまう。800年も生きてしまった」
「年を取らず、若いままの姿を保つから、一つ所に長居が出来ない」というのは、転々と暮らさざるを得ないマキアと養子関係の息子「エミリア」の来し方そのものだ。
他にも「不老不死」な人型の存在を扱う作品には、特有の哀しさがある。
それは、はっきりと思い出せないけれどお子様方には話せないような作品にもあったような。時代伝奇ものの小説だったような記憶が薄っすらあるのだけれど。
本作の脚本・監督を勤めるのは岡田麿里氏。でも、私は彼女が原作(原作者的役割を果たす場合も含む)を担当する作品は、正直なところあまり好きじゃない。
「花咲くいろは」も、それが現実寄りの物語なのだろうけれど、なんか見ていて幸せを感じない。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」も好きではないし、「荒ぶる季節の乙女たちよ」も好きではない。「空の青さを知る人よ」はギリギリ許容範囲。
予告編を見たけれど、今度の「アリスとテレスのまぼろし工場」も、どちらかというと好みじゃない。
それなのに、なぜ本作を見たか?
それは、石見舞菜香の長編初主演だったから。
石見さん、声が細いけど、頑張ってましたね。
「NEW GAME!」シリーズで、主役の涼っちの良き理解者であり、真のライバルでもある「星川ほたる」役。
その後の「多田くんは恋をしない」での、ヒロインの「テレサ」。アレは反則級に可愛らしかった。石見さんの声にぴったりだった。まとめ動画見るだけでも、込み上げるものがありますね。
本作のヒロイン・マキアも、よくはまった役でした。内容は、重く、個人的には気に入らないのだけれど、石見さんの声で見切ることができた感じだった。
内容そのものは好みではなかったから、スッキリとした気分にはなれなかったけれど、ま、この日の〆は「アンサンブルコンテスト」だったので。
順番逆だったら、モヤっとしたまま週末に突入するところでしたな。