しばらくの間続けてきた、「北海道旅」は唐突に終わる。記事は、帰宅してから上げ直す予定ではある。スマホからは出来ない処理もあるので。
旅自体は、もう少し続く。
今は、青森県の「道の駅 浅虫温泉『ゆ〜ざ浅虫』」にいる。
道南の秘境(?)に、松前郡福島町岩部〜上磯郡知内町小谷石間の海岸地帯がある。まあ、勝手に「秘境」と呼んでいるだけなので、地元の方からすれば「何を言ってやがる!」と怒られるかもしれないけれど。
津軽海峡沿いに、福島町からの「北海道道532号岩部渡島福島停車場線」と知内町からの「北海道道531号小谷石渡島知内停車場線」という2つの道路があって、番号といい、並び方といい、繋がりたそうな感じが伝わって来る。2つの町(集落)を繋ぐ、海岸沿いの道としていい感じだ。
でも、実際には繋がってないし、今後も繋がらない。というか、工事すること自体が非常に困難だ。
管見の限りでは地形名が分からなかったが、福島町と知内町の間には、池ノ岱山〜岩部岳〜無名峰〜丸山〜尖山と連なる小山脈による山塊があり、山塊の末端がそのまま津軽海峡に落ちていて、道路を通したい海岸線沿いにそれだけの土地が無い。
岩部集落も小谷石集落も規模は小さく、仮に土木技術を徹底的に投入して道路を作り、両集落を結んだとしても、コスパが悪過ぎる。管理も、難しそうな難所に道路を作らなくても、若干遠回りになるかもしれないけれど、内陸側に立派な国道228号があるのだから、そちらを通ればいい。
ということで、この2つの道道は繋がらず、両集落共に道の果て、行き止まりの秘境のままである。
かなり昔、「両集落はどうなっているのだろうか」と思って、見に行ったことがある。
福島町側の岩部集落は、最近は険しさと引き換えに風光明媚である海岸線を遊覧するクルーズもあるようだけれど、その頃はそんなものはなく、行き止まりの狭い集落があるだけだった。
道端で、おばあさんが何かしていて、他県ナンバーの見かけない車が侵入してきたことに対して、なかなか厳しい表情を向けられてビビった記憶がある。すぐにUターンして逃げだした。
知内町側の小谷石集落は、小さな集落ながら漁港があり、海鮮料理を供する宿もあるなど、岩部集落よりは開けて豊かそうだった。
そもそも、ほとんど渓流のまま海に下る岩部川の周りにわずかに平地があるだけの岩部集落と、もう少し規模の大きな上ノ沢・中ノ沢川による平地がある小谷石集落とでは、集落の規模がかなり異なる。
そんな小谷石集落の入口の道道沿いに「イカリカイ駐車公園」というのがあって、「ツーリングマップル」にも「北海道キャンプ場ガイド」にも、「小綺麗で、トイレもある、バーベキュー出来る所」というような紹介で掲載されている。
以前、小谷石集落を見に行った時から気になっていて、「いつか車中泊してみよう」と思っていた。
今回の長い北海道旅の締めくくりは、そこでの車中泊だなと決め、知内のさっぽろCOOPで半額のお寿司・おにぎりと飲み物を買い込んで意気揚々と「イカリカイ駐車公園」へと向かった。
まあ、ピークである夏は過ぎたし、秋ももう終わって冬の気配を感じる今時分、週末金曜日だと言ってもそんなに人はおらんだろうと思って車を走らせた。
「確かに、人はいなかった。照明の具合も、駐車する位置を調整すれば我慢できそう。案外、夜空には星も見える一夜の宿には悪くない」のだが、なんか違和感がある。
トイレに黄色い板のような物が立て掛けられているようなのだ。似たようなのは、これまで、道東・道北の道端の駐車場公園で散々見たような記憶がある。嫌な予感。
やべえ、切羽詰まったら立小便するしかないのか?
お腹痛くなったら、どうすればいいの?
近寄って見てみると「冬季閉鎖 10月下旬から4月中旬まで」と張り紙がしてあった。
なんてことだ。加齢と、やたらお茶やらなんやらを飲んでいるせいで、このところ夜中に何度かトイレに行くのに、肝心のトイレが閉鎖で使えないとは!!
その瞬間、「ここは、今夜は無いな」と。
「そろそろ帰るか」と心が決まった。
昼食を抜いていてお腹が空いていたので、とりあえず買ってきた半額の寿司とおにぎりは食べた。車を降りて、何枚か写真は撮った。
そうして、一路、函館港のフェリーターミナルに向かって走り出した。
乗れるようならば、今夜の便で本州へと帰るために。
実際に下船したのは0時35分過ぎでした。
10月13日に上陸してから12日間滞在した過去最長の北海道旅は、こうして終わったのだった。
東北で何日か過ごしたら、帰宅する予定である。
とりあえず、今日は夏泊半島一周してから、田子町へ買い物に行き、十和田湖を眺めてから、弘前で温泉につかって、深浦あたりまでと考えている。
ちなみに、小谷石集落には海鮮料理の充実した宿があったりするので、機会があれば泊まりに行きたいとも思うのだけれども。