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2020年11月25日水曜日

妄想炸裂 その3「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

 妄想を炸裂させる記事、その3です。
 どんどん、熱くなっていっております。

 ネタバレがあります。
 映画を未見の方は、本記事はお読みにならない方がよいと思います。

 あくまでも、私個人が、「劇場版」と「テレビシリーズ」を見て感じたことをまとめたものですので、誤認や知識不足があると思います。御容赦くださいませ。



【笑わせるところ】
 「お子さま割引があります」
 「エマージェンシー・プロビジョンです」
 「こんな仕草もできます」

 「これも、少佐の…」
 「いや、それは、俺の」
 「失礼しました」

 他にも、何ヶ所が笑わせに来ているところ、ありますよね?
 公開から2~3週くらいの頃には、割とクスッと笑う人がいたような気もするのですが、なんか、それ以降は笑う人がいないような…。
 ストーリーの上げ下げの振幅を考えて、ずっと見ている側が張り詰めないように緩急を付けているはずなのですよね。それなのに観客側が「泣ける名作」「ちゃんと見ないと」「笑っちゃいけない」とか、どんどん張り詰めてしまっているような感じなのでしょうか。時折クスッと笑うことで、より、メリハリがつくはずなんですけどねえ。
 観客心理は難しいな。なまじ、シリアスな名作であるばかりに、縛られちゃうようなところがあるのかな。

 まあ、最初から最後まで、しかめっ面しながら見ている私も、どうかとは思いますけれど。



【大佐の救済の物語でもある】
 テレビシリーズの最後2話でのヴァイオレットの行動・言動で、ディートフリート大佐の心理も相当に変わったと思います。
 物思わない武器だったはずのヴァイオレットのこれほどまでの変化ですから。

 劇場版序盤の、ヴァイオレットが少佐・大佐の母の墓地を訪ねるシーンで「忘れるは難しい…か」と呟く表情も、相当複雑です。ヴァイオレットが忘れられないように、自分も忘れてなどいないのですから。

 ヴァイオレットの少佐への愛を理解するようになった大佐が、真に生まれ変わるのは、ブーゲンビリア家が所有しているヨットを売却する際に、中に残っているギルベルトゆかりの品々を譲ることを告げるところかな。少し思い詰めた表情で「言わなくちゃ」と、覚悟を決めて話し掛けるのを見ていると、そう感じました。

 ヨットのシーンも、少佐との間の関係性の強さにおいて、絶対的なもののある同士の、濃密なやりとりが描かれていますよね。

 「失ったものは、大きいな。お前も俺も」
 「はい」
 「また会えたら、誤りたいことも、話したいこともある」
 「はい」

 のところでは、ヴァイオレットを自分と同レベルと認めたのを感じます。これまでヴァイオレットに対して取っていた姿勢は、もう、まったくありません。


 余談ですが、ここの、二回目の「はい」って、なんだか心に染み入ります。優しい想いの籠もった、心が通じた「はい」だと感じます。
 私はヴァイオレットを演じる石川由依さんをこれまで知りませんでしたが、このセリフを聞いた時「いい演技をする人だな」と強く思いました。「進撃の巨人」は、申し訳ないのですが、好みではないのでまったく見ていないんですよね。あー、「ガーリッシュ ナンバー」とかにも出ておられたのですね。録画はしたけど、ちゃんと見なかったからなあ…。


 
 閑話休題。その後の大佐は、表立って描かれはしませんが、きっとヴァイオレットの為にいろいろと動いているはずです。
 エカルテ島での兄弟の再会の場面、「今は麻袋に詰め込んで、ヴァイオレットの前に放り出したい気分だ」のところで、ヴァイオレットの側に立った大佐の心をみることが出来ます。

 これまで、様々なことを背負わせてしまった弟のこれからのために、目を背けていたことを受け入れる。
 「お前は、もう、自由になれ」の一言は、きっと大佐自身への救済にもなっているはずです。やっと、ある種のことを受け入れる決意をしたのですから。大佐だって、ただの嫌われ者ではなく、背負ってきたものはたくさんあるはずですから。

 大佐のこの変化は、ヴァイオレットの変化・想いを受けてのものだと思います。
 「あいしてる」を知りたいというヴァイオレット自身の救いの物語は、結果的に、関わった人たちを変える救いの物語でもあるのですね。



【ホッジンズにだって】
 あれは、電波塔の完成祝いの花火なのかな。
 それとも、何か別のお祝いか記念日なのか。

 皆で花火を見ている時に、一際華やかな花火が上がった後、ホッジンズ社長が左側を振り返る1コマ。
 これまでならば、そこにはヴァイオレットちゃんがいて、何か一言返してくれるところなのですが、今はただ空間があるだけ。ホッジンズの瞳に涙が浮かびます。
 ベネディクトにからかわれ、言い返すのですが、あながち的外れでもないのでしょう。

 そりゃ、ギルベルトとの絆には敵わないけれど、ホッジンズにだってヴァイオレットと過ごした時間があるのですから。

 療養施設からヴァイオレットを引き取った後の献身は、「過保護だ」と言われながらも、大きなものがありました。ホッジンズの優しく、でも要点は押さえた見守りが無ければ、ヴァイオレットは今の状態にたどり着けたかどうか。

 実際の所、「人の感情」「人の心」「人の想い」が分かるように導いたのはホッジンズだと思います。


 心優しきホッジンズには、カトレアさんがいます。
 ベネディクトにからかわれるホッジンズを見る目には、とても優しいものを感じますから。
 きっと、ギルベルトとヴァイオレット達と同じように、優しい家族になるのでしょうね。